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<2>「いや」どこまで尊重
理由考え、要求見直しも

2020年4月22日
「やーだよ」

「やーだよ」

 
 5歳の男の子の母親です。能力はあるのにやりたがらないことが多くて困っています。どう接すればよいですか?
 例えば一人だと歌うのにみんなと一緒になると歌わない。家ではできるのに、人前になるとやりたがらない。どうしてもやってほしいときは、ごほうびで釣ったり、時間をかけてやるよう説得したりしています。なんでも頑張らせるのも本人はつらいと思いますが、一方で無理をさせずに本人の「いやだ」を尊重していると、逃げ腰になってしまうのではないかと懸念しています。

 
 まず、なぜ子どもがやらないのかを分析する必要があります。「それをする能力がまだない」、あるいは「やりたくない」以外にも、多くの理由が考えられます。
 氷水で満たされた浴槽につかることは、多くの人は一瞬であればできます。しかし、1時間つかり続けることはできません。このように、たまに短時間ならできるけれども、常に長時間あるいは繰り返しやるのは無理という場合があります。能力はあるし、やらねばならないと頭ではわかっているのだけれど、いざとなると身体が固まってしまい、本人の意に反してできないという人もいます。やりたくない理由にも、嫌いだから、苦手だから、面倒くさいから、他にもっとやりたいことがあるからなど、さまざまな背景が考えられます。いずれの場合も、子どもは「いやだ」としか言いません。その理由を大人が推測する必要があるのです。
 ごほうびや説得が有効なのは、面倒くさいという理由のときぐらいです。能力の問題がある場合には、親の要求レベルを下げる必要があります。嫌いな場合や苦手な場合、説得は嫌いな気持ちや苦手意識を強め、かえって逃げ腰な態度を育ててしまいます。大人は「説得」のつもりでも子どもは「強要」と感じる場合があります。これは虐待につながりやすく、思春期前後から家庭内暴力や情緒不安定などの問題が出現する可能性があります。他にもっとやりたいことがある場合は、子どもがやりたいことを保証すべきです。大人がやらせたいことを先にしても構いませんが、後で子どもが気のすむまで好きなことをさせてやらないと、子どもに不全感が残ります。やろうとしているのに身体が固まってしまう場合は、児童精神科などの専門的な対応が必要かもしれません。
 現場で見ていると、子どもが大人の言うことを聞かない場合の大半は、大人の要求レベルが高すぎます。子どもに過剰な期待をしていないか、日頃の接し方を見直してみてください。(本田秀夫・信州大医学部子どものこころの発達医学教室教授)

「実践! ドクター本田のにじいろ子育て」は第2、4水曜日に掲載します。