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<3>自分から食べない
食事時間楽しいものに

2020年5月13日
食べるとき、食べないとき…

食べるとき、食べないとき…

  
 2歳の男の子の母親(南アルプス市・30代)です。なかなか自分でスプーンを持って食べようとしません。食べさせられるのに慣れているのか、食べさせてもらえるのを待っている様子です。できるだけ声かけをし、手を出さないようにしていますが、そのうち食事に集中できなくなり、椅子から降りて遊び始めてしまうこともしばしばです。親も朝の時間に余裕がなく、ついつい食べさせてしまいます。どのように関わればいいのでしょうか?
  
 「なかなかスプーンを持たない」ということですが、自分でスプーンを持って食べることもあるのですね? もしそうであれば、そんなに悩む必要はありません。その時その時で、親がいちばん楽にできる方法で関わればよいと思います。
 「このままで大丈夫だろうか」と心配でしょうか? 2歳の時点でスプーンを持って食べる時があるのなら、誰かに口まで運んでもらわないと食べないという状態で20歳を迎える可能性は、ほとんどありません。だから、今焦る必要は全くないのです。
 朝食の時、親はいろんなことを考えなければなりません。栄養と量は十分だろうか? 箸、スプーン、食器の扱い方、食べ方のマナーなども教えておきたい。出掛けるまでの時間は限られているから、時間内に済ませたい。あれこれ考えていると、気持ちにゆとりがなくなってしまいます。でも、それは親の都合にすぎません。
 子どもにとって、食べるということは単なる栄養補給ではありません。食べ物をおいしいと感じることや食事を楽しむことは、健康的な心身の発達にとって重要です。食事は、できるだけ楽しい時間にしたいものです。
 親が楽な気持ちで食事を用意できれば、子どもも楽しく感じます。もしスプーンの練習をしたい、あるいは短時間で食べさせたい、という時は、親が促さなくても子どもが食べたがるほど好きなメニューにしましょう。大好きなものなら自分から食べようとするので、スプーンを持つ確率や早く食べ終わる可能性が高くなります。栄養のバランスが気になるのであれば、そんなに好きではないものも混ぜてかまいません。でも、大好きとはいえない食べ物では意欲が高まらないので、自分から食べようとはせず、ゆっくりになるのは当然です。そんなときは親がスプーンで食べさせましょう。ただし、親がスプーンで口元まで持っていっても嫌がるようなものは、無理に食べさせる必要はありません。
 食事では、親が楽な気持ちで子どもを楽しませる。長い目で見れば、これが最善の食育です。
 (本田秀夫・信州大医学部子どものこころの発達医学教室教授)

「実践! ドクター本田のにじいろ子育て」は第2、4水曜日に掲載します。