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<8>環境整え「やる」を待つ チャレンジ どう促す

2020年7月22日
やりたいけど…

やりたいけど…

 【Q】 
 5歳の女の子の父親(30代、南アルプス市)です。保育園の鼓笛隊で、娘は指揮者をやりたい様子でした。控えめな性格もあり、いざ立候補をするとなると、手を挙げません。本人の意思を尊重したいのですが、本音と言葉が違うときがあり、積極的にチャレンジさせる環境をどこまで整えたらいいのか迷います。

 【A】 
 心の中で「やりたい」と思っていても、「恥ずかしい」「自信がない」などの理由で手を挙げないという経験は多くの方があると思います。このように二つの相反する感情が同時に存在することを「アンビバレント(両価的)」と言います。
 このようなとき、周囲の人がやることを促すと、本人の心の中では相対的に「やりたくない」という気持ちが強くなります。逆に周囲の人が声をかけずにいると、「本当はやりたかったのに気づいてもらえない」と思われることもあります。
 ためしに一度やってみたらうまくいくことがあるので、親としては子どもにチャンスを与えたいところです。でも、アンビバレントな子どもは、失敗を恐れていることがあります。「やりたいけれど、やったら失敗するのではないか」「手を挙げても選ばれないのではないか」などと心配なのです。失敗すると落ち込みが激しく、次からますますためらうようになります。やるかどうかは、子どもが自分で決めることが大切です。
 原則的には、最終決定する立場の大人から勧めてみるのがよいでしょう。保育園の鼓笛隊の指揮者なら、園の先生からその子に「指揮者をやってみない?」と誘うのが最も理想的な対応です。子どもはいったん躊躇するかもしれません。その場合、「今度気持ちを聞くから考えておいてね」と先生から言ってもらうのがよいでしょう。
 先生に誘ってもらうのは、本人が「やりたい」と言ったら確実にやらせてもらえて、かつやったらうまくいくと思われる場合に限ります。難しい役割や少人数の選抜制の場合、本人が希望しても失敗する可能性が高くなります。指揮者は、親が手を挙げるよう勧めても、選ばれるかどうかわかりません。もし選ばれなければ「親に勧められて立候補したけれど選ばれなかった」という挫折感の方が強く残ります。
 本人にそれをやりきれる力があり、本人が希望すれば確実にやらせてあげられる場合に限って、決定する立場の大人から誘い、本人が「やりたい」と返事するのを少し待つ、というのが理想的な対応です。これらのどれかが難しい場面では、無理せず次の機会を待ってもよいと思います。
(本田秀夫・信州大医学部子どものこころの発達医学教室教授)

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