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<18>先生たちが気持ち誤解 家庭の様子知り察して

2020年12月23日
サインに気づく

サインに気づく

 Q  自閉スペクトラム症と診断されている6歳男児の母親です。自分から人に話し掛けることには積極的なのですが、保育園や習い事などで先生から何か指示をされると、返事をしない上、1回言われただけではやりません。習い事の先生からは「嫌々来ているのでは」などと言われます。本人は習い事が大好きで、いつも喜んで出かけていくのですが…。

 A  自閉スペクトラム症とは、対人行動や興味の持ち方が通常と異なることを特徴とする発達障害の一種です。ここでは、対人行動の特徴が問題となっています。
 自閉スペクトラム症の人たちが示す対人行動は、双方向性になりにくいことが特徴です。誰とも交わろうとしない、話し掛けられれば簡単な返事をする、自分から積極的に人に話し掛けるなど、いろいろな場合がありますが、いずれの場合も相手の様子を見ながら対人関係を続けることが上手にできません。
 自閉スペクトラム症の子どもでは、本人が思っていることと周囲の人が受ける印象とが大きく食い違うことがあります。通常、「楽しい」と思っている子どもの多くは、周囲の人が見ても「あの子はいま楽しいんだな」と分かります。それは、「楽しい」と思っているときの表情や態度が多くの人で共通だからです。一方、自閉スペクトラム症の子どもは、本当は楽しいのに、そのことが表情や態度として周囲の人たちに通常の方法で示されず、「楽しくないのではないか」と誤解されることがあるのです。逆のパターンもあります。内心で「つらい」と思っているのに周囲から「楽しそう」と見られている自閉スペクトラム症の子どももいるので、注意が必要です。
 誰かと対人関係を続けるには、相手に自分の気持ちを伝え、相手の言動から相手の気持ちを察するということを行います。多くの子どもは、それをいとも簡単に直感的にやっています。自分が「楽しい」「いやだ」と思えば、周囲に「いま楽しいよ」「いやだよ」というサインを上手に出せるのです。でも、自閉スペクトラム症の子どもたちは、そのサインがうまく出せません。周囲の人が「この子はいまどんな気持ちなんだろう?」と思ってこちらを見ていることに気づくことも苦手です。だから、誤解されやすいのです。
 この親御さんは、お子さんの気持ちによく気づいておられます。保育園や習い事の先生たちも、目の前の様子だけで判断するのではなく、家庭での様子や発言などの情報も得ながら子どもの気持ちを慎重に察していただければと思います。
 (本田秀夫・信州大医学部子どものこころの発達医学教室教授)

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