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<25>ひきこもり 居場所なく

2021年4月14日
外に引き出す? 待つ?

外に引き出す? 待つ?

まず安心できる関係を

 【Q】 発達障害のある中学2年の息子がいます。これまで習い事や放課後等デイサービスなど、学校の外に「居場所」を探しましたが見つかりませんでした。中学入学後のいじめで不登校になり、この1年はひきこもりの状態です。息子は将来の話をせず、医師やカウンセラーとの面談も拒否し、話ができるのは家族だけです。本人を信じて待つのか、強硬な手段に出るべきか、どうしたらいいのでしょうか。

 【A】 このコラムの第21回で、発達障害の子どもでは学校以外に居場所を確保しておきたいということを書きました。今回のご質問は、残念ながらそのような居場所が見つからずにひきこもりの状態になっているお子さんについてです。
 ひきこもりの状態に対して保護者がとることのできる対応は、「強引に外へ引き出す」と「待つ」のどちらかです。いずれのやり方でも、お子さんがひきこもりを脱する場合、脱しない場合の両方があり得ます。
 保護者が強硬手段で子どもを外に連れ出した結果、劇的にひきこもりから脱したという話は、ドラマ性が高くインパクトがあります。ただ、経験的にはこのやり方でうまくいく確率はとても低く、逆に裏目に出て家族関係が相当に悪化するリスクが高くなります。強行突破が成功したという「武勇伝」は魅力的ですが、その陰に無数の家族崩壊の事例があることを知っておいてください。
 一方、待つ対応は時間がかかるので、家族に相当の忍耐が要求されますが、ひきこもりから脱する確率は、強引に外へ引き出すやり方よりは多少高くなります。また、家族関係が悪化するリスクは低いです。ひきこもりの対応を行う多くの支援者は、いちかばちかのギャンブル性の高い強硬手段ではなく、リスクの少ない「待つ」対応を優先します。
 お子さんは、家族との関係がギクシャクしてはいないでしょうか? いまの状態ですと、外へ引っ張りだそう、なんとか通う場所を見つけてそこに行かせようという気配を感じただけで、お子さんはとても警戒すると思います。家族とさえ安心して話せない状態では、家にいても疲れてしまい、外に出ることを考える余裕などなくなってしまいます。いったんは、家に好きなだけいてもいいこと、家が安心して過ごせる場所であることを保障し、家族が仲良く雑談したり一緒に余暇を過ごしたりする時間を多くもつことを考えてみてください。本人は無理に連れ出さなくて結構ですが、保護者だけでも地域の発達支援やひきこもり相談などの支援者とつながっておくとよいと思います。
 (本田秀夫・信州大医学部子どものこころの発達医学教室教授)

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