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<26>歌や番組 規制必要?

2021年4月28日

「力ずく」心の健康に害

 Q  子どもから、学童保育でヒット曲「うっせぇわ」(Ado)を歌うことが禁止されていると聞きました。歌詞を見ると、その考えが分からないでもないですが、規制したところで何の意味もないだろうとも思います。その学童保育では映画を見る時間もあり、かつて子どもに見せたくない番組ランキングで上位だった「クレヨンしんちゃん」などを見せています。基準もわかりません。どう考えたらいいのでしょうか。

 A  結論から言うと、「うっせぇわ」も「クレヨンしんちゃん」も「問題はナシ」です。禁止してはいけません。
 改めて「うっせぇわ」の歌詞を見直しましたが、どこに問題があるのか私にはさっぱりわかりません。思春期前後の心理をうまくとらえた歌だと思います。
 「子どもに見せると教育上よろしくないから」という理由でメディアに規制を求める大人は、時代を問わず存在します。多くは暴力や性描写がその対象になります。一方、そのような人たちから批判の対象となった番組などを見て育った子どもたちのほとんどは、「あなたが思うより健康」な大人に成長します。
 私が小学生だった昭和40年代は、ザ・ドリフターズの加藤茶さんがやっていた「ちょっとだけよ」が子どもたちに流行しました。私を含め当時の小学生は、学校の休み時間にみんなで床や机の上に寝そべって片足を上げてまねをしたものです。「クレヨンしんちゃん」もそうですが、下ネタが多い番組は、その時代の大人から批判を浴びることが多くなります。しかし、それを見たことだけが原因で性的異常者になるわけではありません。
 思春期の攻撃性や性的関心の高まりは、ごく一般的なことです。そのような感情や衝動があることを隠さず表に出しながら、徐々に上手な表現の方法と気持ちのコントロールの仕方を学んでいくプロセスが、思春期の重要な発達課題です。力ずくで抑え込もうとすると、心の健康のバランスを崩します。
 「うっせぇわ」を歌うことを禁じる大人には、もう一つ別の深層心理が働いている可能性があります。それは「支配欲」です。この歌詞を問題視するのは、子どもに文句など言わせず支配したいという心理の表れかもしれません。
 校則などの細かい規制は、増やせば増やすほど違反者を非難する風潮が強まり、パワーハラスメントが発生しやすくなります。暴力や性描写について、誰かを傷つけないための最低限のルールは必要ですが、大人への反発心の表現まで規制の対象とするのは問題です。むしろ、その学童保育の職員のメンタルヘルスが心配です。(本田秀夫・信州大医学部子どものこころの発達医学教室教授)

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